発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015140388
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
67歳男。既往歴として59歳時に糖尿病性腎症で透析導入され、62歳時に狭心症でステント留置が行われた。今回、糖尿病性足壊疽で入院中に発熱を繰り返し、精査の結果、冠状動脈#1(ステント留置部)に5cm大の仮性瘤を認め、#7に90%狭窄を認めた。治療として、瘤切除、ステント除去、Valsalva洞パッチ閉鎖、冠状動脈バイパス術を行い、病理検査でステント部の仮性瘤にGram陽性球菌を多数認めたことから、ステント部の感染による仮性瘤と診断した。3ヵ月後、透析中に意識消失し、心電図で完全房室ブロックを認めた。諸検査の結果から、前回手術でのパッチ吻合部が破綻したことでValsalva洞に仮性瘤を形成し、右房に穿破したものと考えられた。完全房室ブロックの原因については、瘤の圧排により右冠状動脈グラフトが閉鎖したためと推測された。同日に緊急手術を行い、良好な結果が得られた。
©Nankodo Co., Ltd., 2015