発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015140389
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71歳女。1年3ヵ月前、急性大動脈解離に対して上行大動脈置換術を行った。術後経過は当初良好であったが、創部離開から縦隔炎と人工血管感染を併発したため、術後9ヵ月時に大網充填術を行うことで感染を鎮静化させた。今回、労作時の息切れが出現するようになり、心エコーで大動脈弁逆流と僧帽弁逆流を認めたため、再開胸で上行動脈再置換術と大動脈弁置換術および僧帽弁形成術を施行した。その際、大網組織の剥離は超音波メスを用いることにより比較的容易であった。また、術中は大網がクッションとなって心臓の組織や大血管の損傷リスクを軽減してくれる印象もあった。大網は血流良好で感染所見も認めなかったため、組織の治癒促進を助けるものと期待して残存させた。
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