発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013269696
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77歳男。労作時胸痛を主訴とした。8年前にin situ内胸動脈グラフト(LITA)による左前下行枝、大伏在静脈グラフト(SVG)による鈍縁枝(OM)と後側壁枝(14PL)への心拍動下冠状動脈バイパス術を受けていた。術後1年にSVG-14PLが閉塞したが、狭心痛はなく経過観察となった。術後8年に血管造影で左鎖骨下動脈起始部に90%狭窄を認め、LITAは開存していたが、SVG-OMは閉塞していた。その後、左上肢の使用時に胸痛発作が出現し、心電図で前胸部誘導でST-T低下を認め、coronary-subclavian steal syndromeに伴う左内胸動脈の血流低下により狭心発作を生じていると考えた。狭窄部に対してカテーテル的血管形成術を考慮したが、バルーン拡張時に冠状動脈の虚血が生じることが危惧され、外科的血行再建を行うこととした。ePTFEリング付き人工血管を使用して腋窩-腋窩動脈バイパス術を施行した。術後経過は良好で、労作時胸痛は消失し、造影CTでバイパスグラフトの良好な開存を確認した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013