発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015122725
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43歳男性。仕事中に釘打ち機を誤って自分に向けて発射してしまい、釘が胸部に刺さり、近医に救急搬送された。胸部単純CTを行なったところ、右室前壁には60mm長の釘が穿通しており、緊急加療から著者らの心臓血管外科へ紹介となった。入院時、所見では前胸部痛が認められ、前胸部左側には心拍動に連動する釘が刺さっていたが、心音や呼吸音はとも正常であった。また、胸部単純CTでは右室に穿通する釘が確認され、心嚢液は少量貯留していたものの胸水は認められなかった。以上より、本症例は釘による穿通性心損傷と診断され、緊急手術となった。その結果、所見では開胸器で大きく展開する前から釘はほとんど抜けており、容易に抜去でき、右室前壁の穿通部からわずかに出血が認められる程度であった。以後、術野を温生理食塩水3000mlで十分に洗浄後、心嚢・前胸部にドレーンを留置して閉胸した。釘は全長60mmで特に損傷なく、細菌培養結果は陰性で、術後は6時間経過で気管挿管チューブを抜去し、次いで第2病日目に心嚢・前縦隔ドレーンが抜去された。抗生剤は第2病日までcefazorinが投与されたが、中止後も炎症反応上昇はなく発熱も認められなかった。尚、第5病日目の心エコーで心室中隔レベルのシャントや心嚢液貯留が認められなかったことから、患者は第7病日目に退院となった。
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