発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014195261
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症例は24歳男性で、作業中に誤って自分の胸に拳銃型自動釘打ち機で釘を打ち込み、気分不良を訴えた。左乳頭内側1cmに径約2mmの小さな刺創があり、X線では心陰影と重なる針状の異物影を認めた。心エコーで左前壁に約5mmのecho-free spaceを認め、心嚢水の貯留による心タンポナーデが疑われた。血圧の低下、ショックバイタルが出現し、緊急開胸術を施行した。心膜切開により心嚢内の大量の血腫を除去し、血行動態の回復を得た後、人工心肺を確立して心拍動下に心臓を脱転したところ、左前下行枝から約1cm左側、第2対角枝との間の左室心筋に釘の刺入を認めた。出血は殆どなく、釘を抜去してフェルト付き4-0ポリプロピレン糸を用いたU字マットレス縫合で刺入部を閉鎖した。釘は鈍の先端で太さ3mm、6cm長で4cmが心筋内に刺入していた。術後経過良好で、心機能に異常はなく、7日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014