発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015122724
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36歳女性。既往として12歳時に心房中隔欠損症に対してパッチ閉鎖術を受けたほか、7年前からは血小板減少症で血液内科にて経過観察中であった。今回、心電図上で洞停止と徐脈が認められ、心エコーでは右房腫瘤を指摘された。初診時、胸部CTでは右房内に径13mmの不整形で境界明瞭な高吸収構造物が認められ、MRIでは右房内にT2強調像で15mmの低信号域を、cine MRIで右房に付着した有茎性かつ浮遊性の腫瘤が確認された。以上、これらの所見から本症例は右房内腫瘤と診断され、塞栓発症の可能性も踏まえて手術となった。術中所見では右房下方肉柱より伸びた茎につながった白色の硬い腫瘤が認められ、この茎に付着した右房内膜を含めて腫瘤を切除後、内膜切除部を縫合閉鎖した。その結果、病理所見では腫瘤は無構造な好酸性物質を背景に周辺部に石灰化を伴っており、石灰化の多くは砂粒状、斑状の異所性石灰化であり、表面と内部の一部にはわずかな線維化成分を伴い、その一部は心内膜構造物の可能性があった。一方、著明な血小板減少は術前日と術中に20単位ずつ血小板輸血を行なうことで、術後の出血は少量でおさまり、患者は術後23日目に退院となった。だが、退院後も汎血小板減少は持続し、のちの検査にて再生不良性貧血と診断された。
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