発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006034949
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52歳女性.患者は42歳時に統合失調症の診断で投薬を開始し,46歳時に自殺企図の腹部刺創で近医へ入院,現在は自己判断で内服を中断していた.今回,夜間就寝中,左胸部に包丁が刺さっているのを家族が発見し救急来院となった.包丁は胸骨左縁第7肋間から正中に向けて刺さっていた.X線では包丁は横隔膜をかすめ左胸腔を通過し,先端は心嚢内に達していた.気管内挿管,左胸腔ドレナージを行い,輸液・補液で血圧を維持し,CTで包丁先端が右室腔内へ到達を確認し緊急手術を行った.完全体外循環時点で包丁を抜去し,左肺に損傷はなく,横隔膜に軽度挫創を認めるのみで,右室穿刺創は前壁から心尖部を通り,下壁の2/3にいたる約12cmの裂創で,テフロンフェルトで補強して閉創した.以後,大動脈内バルーンパンピング挿入で人工心肺から離脱し,術後14日目には人工呼吸器から離脱となった
©Nankodo Co., Ltd., 2005