発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015122722
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71歳女性。既往として65歳時より髄膜腫にて保存療法中であった。今回、髄膜腫診断時に指摘されていた大動脈弁狭窄症(AS)による労作時の息切れが増悪したため精査目的で著者らの施設へ紹介となった。入院時、経胸壁心エコーでは大動脈弁は三尖で著明な硬化を伴う狭窄が認められ、左室駆出率は80.1%、左室壁の肥厚も認められた。一方、心カテーテルでは大動脈弁の引き抜き圧較差はピーク値にて123mmHgであったが、冠状動脈には有意な狭窄は認められなかった。以上より、本症例は大型髄膜腫に合併した狭小弁輪を伴うASの診断にて大動脈弁置換術が施行されることとなった。術中所見では大動脈弁は弁尖から弁輪部広範に及ぶ著明な石灰化で可動性はほとんどなかった。そこで、弁尖とともに可能な限り石灰化を削除後に弁輪部を計測すると19mmのボールサイザーがぎりぎり通過する程度であり、機械弁(ATS 16mmAP)をsupra-annular位に置換した。その結果、術後、リハビリテーションにはやや長時間を要したが、経過は概ね良好で、患者は術後44日目に軽快退院となった。尚、目下は術後約8年経過でワルファリンによる機械弁管理のもとに心機能は問題なく安定しており、髄膜腫についても大きさ・性状に変化なく経過観察している。
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