発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015122720
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67歳女性。既往として40歳代に冠状動脈瘻と診断され、経過観察となっていた。今回、突然の呼吸困難で前医に搬送され、受診時にショック状態で心嚢液貯留を認めたため、著者らの施設へ紹介搬送となった。来院時、所見ではショック状態で意識レベル低下がみられた。また、心エコーでは全周性に10~20mmの心嚢液ほか、心タンポナーデ状態であったが、上行大動脈には拡大やフラップは認めず、肺動脈主幹部前面には約50mm大の内部血流を伴う占拠性病変が認められた。一方、造影CTでは著明な心嚢液貯留に加え、冠状動脈左前下行枝から蛇行、瘤化した異常血管が分岐し、肺動脈主幹部に連続しており、瘤の最大径は50mmであった。以上より、本症例は冠状動脈肺動脈瘻に合併した冠状動脈瘤破裂の診断にて緊急手術となった。その結果、術中所見では血性心嚢液が認められ、肺動脈主幹部の左前方には巨大な瘤と蛇行、拡張した異常血管が認められた。そこで、心拍動下に瘻孔血管の肺動脈側を剥離し、肺動脈への流入部を遮断して肺動脈の欠損孔を縫合閉鎖した。そして上行大動脈を遮断して心停止を得た後、冠状動脈瘤を切開し、瘻孔血管からの流入部を確認しながら剥離を行ない、左前下行枝からの起始部で瘻孔血管を結紮遮断後、瘻孔血管を可及的に切除した。手術時間は4時間30分、体外循環時間は148分、上行大動脈遮断時間は49分で、患者は経過良好で、術後29日目に独歩退院となった。
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