臨床経験
遠隔期に拡張冠状動脈の退縮を確認した冠状動脈瘻
菅原 正明
1
,
小熊 文昭
,
平原 浩幸
1長岡赤十字病院 心臓血管外科
キーワード:
病的拡張症
,
冠血管奇形
,
冠状動脈瘤
,
冠血管造影
Keyword:
Coronary Aneurysm
,
Coronary Vessel Anomalies
,
Dilatation, Pathologic
,
Coronary Angiography
pp.544-548
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014367316
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4歳9ヵ月男児。出生後に右冠状動脈から右室に開口する冠状動脈瘻と診断され、冠状動脈拡張と両心室拡大が進行したため手術を予定した。心臓カテーテル検査の冠状動脈造影像で右冠状動脈の起始部から#1~#2が内径8mmの導管状に拡張し、鋭縁枝部分で径20mm大の嚢状の冠状動脈瘤を形成し、この瘤の底部から右室に開口する冠状動脈瘻を認めた。冠状動脈瘤を合併した先天性冠状動脈瘻と診断し、Symbas法に準じて手術を行った。鋭縁枝部分の嚢状動脈瘤部は縫合閉鎖して血流遮断することとし、動脈瘤近位側を連続縫合で閉鎖し、続いて瘻孔を直接縫合閉鎖した。右冠状動脈#1~#2は血管壁の菲薄化がないため無処置とした。体外循環からの離脱は順調で、術後も良好に経過した。退院後はwarfarin、aspirin内服で抗凝固療法を継続し、術後17ヵ月の冠状動脈造影像で遺残短絡や分枝閉塞はなく、著明に拡大していた右冠状動脈も正常に退縮していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014