発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015122715
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72歳男性。2年前に十二指腸潰瘍穿孔による急性汎発性腹膜炎に対する緊急手術の既往があった。その際、CTにて左側横隔膜ヘルニアが疑われていたが脱出程度が軽度であることから経過観察となっていた。だが今回、嘔吐・上腹部痛が出現して緊急入院となった。入院時、胸部X線像では縦隔の右側偏位、左胸腔内にニボー形成が認められ、胸腹部CTでは胃穹窿部から体部におよぶ胃の大部分と脾臓が左胸腔内に脱出していた。以上、これらの症例を踏まえて、本症例はBochdalek孔ヘルニア嵌頓でヘルニア内容は胃および脾臓と診断、腹腔内に残っている噴門部の拡張があり、胃管の挿入を行なうことで約1000mlの排液がみられ症状は軽快した。一方、上部消化管内視鏡を行なったところ、胃の粘膜面に異常は認められなかったが、胃は高度に変形しており、減圧が効いている状態でも胃の胸腔内への脱出が判明した。そこで、分離肺換気下で腹鏡下手術を施行した結果、胸腔内観察では胃と脾臓は胸腔内に脱出した状態で、癒着剥離し脱出臓器の還納を試みたが脱出臓器の用量が大きく不可能であり、小開胸をおき用手的に還納した。以後、ヘルニア門の大きさは約15×10cmと巨大であり、ヘルニア門を過度な緊張がかからない範囲で部分縫合し、ヘルニア門径を約5×5cmに狭小化して縫合した。尚、患者は第2病日目の上部消化管造影検査で通過障害や逆流のないことを確認後に経口摂取を開始、第10病日目に退院となった。
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