手術の工夫
三尖弁感染性心内膜炎に対する自己心膜による形成術
日置 巌雄
1
,
佐藤 友昭
,
森本 保
1国立病院機構三重中央医療センター 心臓血管外科
キーワード:
Imipenem
,
三尖弁
,
心内膜炎-感染性
,
心膜
,
経食道心エコー図
,
三尖弁形成術
Keyword:
Endocarditis, Bacterial
,
Pericardium
,
Tricuspid Valve
,
Imipenem
,
Echocardiography, Transesophageal
pp.1147-1149
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015122716
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67歳女性。39℃台の発熱を来し近医を受診、抗生剤の投与で解熱するも再三、発熱を繰り返し前医に入院となった。血液培養でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出されたほか、心エコーにて三尖弁前尖に付着する疣贅および右房内血栓が疑われ、更にCTでは肺梗塞が認められた。約6週間の抗生剤投与で炎症所見は陰性化したが疣贅は縮小せず、加えて右房内には血栓様の構造物が認められたため手術目的で著者らの施設へ紹介となった。入院時、経食道心エコーでは高度の三尖弁逆流(TR)と三尖弁前尖の疣贅(16×6mm)が確認されたが、右房内の血栓は認められず、感染性心内膜炎+TRの診断にて手術が施行された。手術は上行大動脈送血、上・下大静脈脱血で体外循環を確立し心停止させ、三尖弁前尖の疣贅とcleftを含め台形に切除後、グルタールアルデヒド処理した自己心膜を逢着した。次いで2対の人工腱索を用いて前尖を再建した。その結果、手術時間は3時間20分、体外循環時間は121分、大動脈遮断時間は82分であり、術中採取した組織には好中球や組織球の浸潤が認められた。尚、術後の経過良好で、患者は術後24日目に退院となり、目下は術後5年経過で感染徴候やTRは認められていない。
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