臨床経験
冠状動脈起始異常を合併した心疾患に対する手術
平山 亮
1
,
鈴木 龍介
,
渡辺 俊明
,
松川 舞
,
坂口 健
,
上木原 健太
,
吉岡 祐希
,
毛利 雅治
,
宮本 智也
,
中島 昌道
1熊本赤十字病院 心臓血管外科
キーワード:
冠血管奇形
,
心電図
,
冠状動脈バイパス術
,
冠血管造影
,
経食道心エコー図
,
心筋虚血
,
CT血管造影
Keyword:
Computed Tomography Angiography
,
Coronary Artery Bypass
,
Coronary Vessel Anomalies
,
Electrocardiography
,
Myocardial Ischemia
,
Coronary Angiography
,
Echocardiography, Transesophageal
pp.342-347
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017209360
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冠状動脈起始異常を合併した心疾患3例の手術を経験した。症例1は38歳男で、右冠状動脈左冠状動脈洞起始症であり、右冠状動脈が大動脈と肺動脈で圧迫される起始異常のため、右内胸動脈を用いて右冠状動脈にバイパスした後、血流の競合に対して冠状動脈の中枢側を結紮した。症例2は76歳女で、左冠状動脈右冠状動脈洞起始症(肺動脈前方型)であり、解剖学的に虚血は生じないが、動脈硬化性病変による虚血を生じた。左主幹部分岐部病変のため、冠状動脈バイパス術を行った。症例3は58歳男で、左冠状動脈主幹部が壁内走行し、入口部が左・無冠尖間の交連部近くに位置していた。手術まで無症状であったが、大動脈置換後に拡張期圧上昇によって動脈が圧排され、血流低下を認めたためunroofingを行い、新たな左冠状動脈口を形成した。いずれも虚血の機序を診断し、最適な治療を選択できた。
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