発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009042212
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71歳男。感冒症状後に胸部圧迫感を自覚し、近医での造影CTで心嚢内腫瘤を指摘され当科紹介となった。マルチスライスヘリカルCTで心嚢内左側に辺縁に石灰化を伴う9.5×7.3cmの腫瘤を、心カテーテル検査で左冠状動脈回旋枝(LCX)に発生した冠状動脈瘻と合併する巨大冠状動脈瘤を認めた。左室造影像で冠状動脈瘤内への血流が造影され、その際に左室憩室の合併も判明した。開胸術を施行し、心膜内の腫瘤を切開したところ、内腔に径1.5mmの交通孔が2ヶ所存在した。1ヶ所は術前の冠状動脈造影像でのLCXからの流入口と一致し、これを縫合閉鎖した。他方の交通孔は左室後壁へ連続しており、左室流入部は憩室様に瘤化し、ほぼ全体が左室心筋内に埋没していた。この憩室様瘤を剥離切開し、左室への開口部を縫合閉鎖した。最後に瘤部分の縫縮縫合閉鎖を行った。術後経過良好で、第22病日に独歩退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008