臨床経験
肺非結核性抗酸菌症の治療中に合併した肺癌
末久 弘
1
,
松田 史雄
,
河本 宏昭
,
上野 剛
,
澤田 茂樹
,
山下 素弘
,
山本 将一朗
,
原田 大二郎
,
北島 寛元
,
上月 稔幸
,
野上 尚之
,
高畑 浩之
1国立病院機構四国がんセンター
キーワード:
気道感染
,
胸部X線診断
,
腺癌
,
肺腫瘍
,
肺切除
,
Mycobacterium avium Complex Infection
,
胸部CT
Keyword:
Adenocarcinoma
,
Lung Neoplasms
,
Respiratory Tract Infections
,
Pneumonectomy
,
Radiography, Thoracic
,
Mycobacterium avium-intracellulare Infection
pp.549-552
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014367317
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54歳男。肺非結核性抗酸菌症(NTM)で内服加療中、胸部異常陰影が出現し増大傾向を認めた。CTで右上葉S1/S2縦隔側に1.3cm大の充実性結節を認め、辺縁は微細鋸歯状で縦隔胸膜に接していた。また、右下葉S6に3.5cm大の空洞性病変を認め、その周囲に散布影を伴っていた。PET/CTでは右上葉の結節にFDGの高集積を認めた。気管支鏡検査では、右下葉S6の空洞性病変からMycobacterium intracellulareが検出された。右上葉肺癌と診断して手術を施行し、右上葉の結節は縦隔胸膜に浸潤しており、奇静脈を合併切除した。針生検では検体不十分で診断できなかったが、肺癌疑いで右上葉を切除した。肺NTMの病変に対しては右S6区域切除を行った。病理診断は腺癌、pT3N0M0PL3(縦隔胸膜)D0E0PM0、病理病期IIB期、洗浄細胞診が陽性であった。S6の空洞性病変は抗酸菌症の像であった。Crohn病の既往や就労を考慮し、術後はtegafur・uracilを経口投与した。肺瘻が遷延し癒着療法を要したが、術後14日に軽快退院し、術後1年9ヵ月の現在、再発は認めていない。
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