手術の工夫
大動脈弁輪部膿瘍に対する新しい人工弁縫着法 全周貫壁縫合法
浜崎 安純
1
,
柳沼 厳弥
,
石川 和徳
,
阿部 和男
1仙台厚生病院 心臓血管外科
キーワード:
心臓弁膜症
,
心内膜炎-感染性
,
大動脈弁
,
膿瘍
,
縫合法
,
人工弁置換術
Keyword:
Abscess
,
Aortic Valve
,
Endocarditis, Bacterial
,
Heart Valve Diseases
,
Suture Techniques
,
Heart Valve Prosthesis Implantation
pp.537-539
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014367314
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55歳男。労作時息切れを主訴とした。経胸壁心エコーで大動脈弁の右冠尖に瘤状の変形と穿孔を認め、同部から中等度の大動脈弁逆流が生じていた。左室は拡大し、心房中隔欠損も(ASD)描出された。心臓カテーテル検査の冠状動脈造影像で左冠状動脈前下行枝(LAD)近位部に75%狭窄を認め、大動脈造影像でIII度の大動脈弁逆流を認めた。自然寛解した感染性心内膜炎と診断し、機械弁による大動脈弁置換術、LADへの冠状動脈バイパス、ASD閉鎖を同時に行うこととした。内胸動脈を採取しLADに吻合した後に人工心肺を開始し、心停止を得た後にASDを直接縫合閉鎖した。大動脈弁は3尖で、いずれも破壊されていた。左冠尖・右冠尖・無冠尖の弁輪に膿瘍を認め、右冠尖のものは自壊していた。徹底したデブリドマンの後に膿瘍腔を閉鎖することなく血流に開放し、弁輪直上の冠状動脈起始部直下に全周貫壁縫合で人工弁を縫着した。術後経過は良好で、術後44ヵ月の現在、再発、大動脈基部の仮性瘤化は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2014