発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009275815
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過去11年間に著者らが経験した大動脈弁置換術(AVR)157例を対象に、ガイドラインに準じたAVRの人工弁選択、特に65歳という年齢についての妥当性と問題点について検討した。1)手術時年齢は65歳以上が80例(51%)であった。2)ガイドラインから逸脱した65歳未満での生体弁選択は15例(19%)であり、その平均年齢は58.9±8.4歳であった。一方、ガイドラインから逸脱した65歳以上での機械弁を選択した症例は4例(5%)で、その平均年齢は70.1±4.2歳であった。3)60~70歳に限定した場合、60~65歳で生体弁を選択した頻度は39%であった。一方、65歳未満での生体弁選択の主な理由は予測平均余命から再手術の可能性が低いことを考慮して患者自身が希望、warfarin服用が不要になる、妊娠・出産希望などであった。また、65歳以上での機械弁選択の理由は、再手術は極力避けたいという強い希望などであった。4)術後12.6年の生存率はAVR全体で89.8±2.5%と良好で、生体弁では89.8±3.2%、機械弁では90.2±3.8%と有意差はみられなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009