発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014298158
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
49歳男。胸痛を主訴とした。降車時に車のドアと後続車に挟まれて受傷、目立った外傷はなかったものの、受傷21分後に収縮期血圧が40mmHg台まで低下し、経胸壁心エコー検査で心破裂による心タンポナーデと診断された。搬送先の病院で気管内挿管、心嚢穿刺ドレナージを行い、循環動態の安定化を図った後に当院へ転送となり、胸部単純X線では心胸郭比55%で軽度肺うっ血がみられたが、骨折、胸水、血胸、気胸などの所見はなかった。循環動態は比較的落ち着いていたため、造影CTを行い、16列MDCT解析にて右室心尖部から心嚢内への造影剤の漏出を認め、右心破裂と診断した。本症例では術前MDCTによる正確な部位診断によって人工心肺を準備せずに緊急手術を行うことができ、術前MDCT所見に一致する外膜下血腫(2×2cm)を認めたため、破裂部と判断してこれを閉鎖し、救命し得た。
©Nankodo Co., Ltd., 2014