発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008146456
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
76歳男性。自動車運転中に壁に衝突し救急搬送された。搬送時、心電図モニター上、心房細動で単発性心室性期外収縮認めたが、血圧は安定していた。胸部造影CTを施行したところ、大動脈峡部腹側にエントリーを伴った大動脈解離と胸骨後面左側に血腫、左多発肋骨骨折、心臓の左胸腔への偏位を認め、外傷性大動脈損傷と診断した。部分体外循環下に緊急大動脈修復術を施行し、手術所見にて左胸腔側の心膜破裂と心臓脱を認め、心膜形成術を施行した。術後造影CTにて問題は認めず、心房細動はpilsicainide hydrochloride点滴、内服加療にて洞調律に回復した。術直後にみられた肺挫傷による呼吸不全は徐々に改善し、意識清明、対麻痺はなく、術後24日目に自宅退院となった。強大な外力による胸部外傷の場合、大動脈損傷に加え心膜破裂を念頭においた診察・検査・経過観察が必要である。もし心膜損傷を疑い心臓脱をきたす可能性があれば、積極的に修復する必要があると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008