発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208428
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58歳男。衝突で車体に挟まれ搬送された近医で、心エコーにより心嚢液貯留を認め、更に心嚢穿刺で心嚢内出血が判明したため中心静脈のカテーテル留置のまま当院へ搬送された。直後(受傷後3時間37分)に呼吸苦を訴え意識を消失し、ショック状態で呼吸停止となった。急速輸液を開始し、心エコーにて多量の心嚢液の貯留を認めたが留置されたカテーテルは閉塞していたため、7Frのシースを用いて心嚢ドレナージを行った。暗赤色の血液排出が続き、受傷後4時間27分に胸骨正中切開を行った。大量の凝血塊とともに暗赤色の血流が流出した後、血圧は上昇し、頻脈は改善した。右心房の上大静脈移行部に近いところに約1.5cmの破裂を認め、摂子で軽く圧迫して出血をコントロールして、プレジェット水平マットレス縫合を2針行い止血し、心嚢内を洗浄して縦隔にドレーンを置いて閉胸した。術後の心機能、意識は良好に回復した。その後、右肩腱板損傷と第9胸椎の圧迫骨折が判明し、術後46日目にリハビリテーション目的で転院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008