発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003116855
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26歳男性.鈍的外傷による右主気管支完全断裂の1例を経験した.バイクで走行中に右折トラックに接触し転倒した.呼吸は努力様で左右胸郭の奇異性運動があり,顔面外傷と口腔内より出血を認めた.血液検査でアシドーシスの進行と換気障害を認め,胸部X線で右肺に緊張性気胸を認めた.胸腔ドレーンの挿入でもエアーリークがひどく,気管支鏡検査でカリ-ナから2cmの右主気管支で気管の閉塞がみられ,直ちに左右分離換気に入れ替え右開胸術を実施した.右主気管支が胸腔内で完全に断裂していたが,出血はごく少量で右肺の挫滅も比較的軽度であった.再換気でも肺胞の損傷はなく,気管形成術を行い気管軟骨を一部デブリドマンしただけで端々で再建した.術後呼吸管理に問題なく,再建部の感染や気道の狭窄もなく軽快退院した.本外傷では術前の呼吸管理が最も重要で,救急初療で速やかに経皮的心肺補助や左右肺分離換気ができる体制が必要と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2002