発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004289045
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80歳女.息苦しさが出現し,腎梗塞で入院となり,精査の結果,僧帽弁狭窄症,三尖弁閉鎖不全症,左房内血栓と診断された.胸骨正中切開後,上行大動脈送血及び上・下大静脈直接脱血で人工心肺を開始した.糖+インスリン+カリウム(GIK)にて心停止を得た.27mmのボールサイザーが通過せず,25mmのCarpentier-Edwards弁に置換した.三尖弁には26mmのCarpentier-Edwardsリングを縫着した.しかし,止血操作中に心嚢内に動脈性の出血が増加した.次第に出血量が増えたため左室破裂を疑い出血部位を確認すると,好発部位とされる左心耳側の房室間溝近位左室に約2cmの裂孔を確認した.触診で同部に人工弁輪を確認し,3×1cmのフェルト短冊2枚と3-0プロリンSH3針のマットレス縫合で閉鎖した.これで出血は人工心肺離脱可能な量まで減少した.第2病日にドレーン出血は10ml/時程度の淡血性となったため再開胸を行った.ガーゼを慎重にはずすと出血は完全に止まっており,洗浄後閉胸した
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