発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006034948
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67歳男性.患者は2.5m下の水路にトラクターごと転落し受傷,近医で血圧60mmHg,左側多発肋骨骨折,肉眼的血尿を認め,全身多発外傷の疑いで著者らの施設へ転送となった.心電図では頻脈とV3~V6の胸部誘導でST低下を認め,X線では心胸郭比58%,左第4~11肋骨骨折を認めた.胸部CTでは著明な心嚢液貯留で心タンポナーデを呈し,腹部CTでは左腎の挫創と後腹膜出血を認めた.更に心エコーでは心臓周囲に著明な心嚢液貯留と右室の虚脱を認めた.鈍的胸部外傷での心タンポナーデによるショック状態と診断し,心嚢ドレナージを行ったが,心嚢内出血の持続で胸骨正中切開を追加した.心臓の左室に約2cmの裂創を認め,血液が拍動性に噴出していた.用手圧迫止血とシート状生物学的組織接着・閉鎖剤(タココンブ)で止血し,血行動態は改善した.腎挫創および肉眼的血尿も軽快し,受傷後20日目に軽快退院となった
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