発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015062462
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40歳男性。健診の腹部超音波検査で主膵管の拡張が指摘された。腹部造影CT検査では主膵管の拡張と膵頭部に36mm大の嚢胞性病変が認められたほか、膵管内超音波検査(IDUS)により嚢胞内に乳頭状壁在結節がみられ、膵管内嚢胞粘液腫瘍と診断、手術目的で著者らの施設へ紹介となった。入院後の腹部CTでは主膵管が全長にわたり拡張しており、膵頭部に最大径36mmの多房性嚢胞性病変がみられた。また、主膵管と交通しており、混合型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)が疑われた。一方、上部消化管内視鏡ではVater乳頭部より著明な粘液流出がみられ、内視鏡的逆行性胆道膵管造影では主膵管は著明に拡張し、Vater乳頭部近傍に乳頭隆起と思われる陰影欠損が認められた。更にIDUSでも膵頭部主膵管に膵管上皮から連続する8×6mm大の乳頭状隆起がみられたが、生検では悪性所見は認められなかった。以上、これらの所見から本症例は混合型IPMNと診断され、腹腔鏡補助下膵頭十二指腸切除術を施行した結果、切除標本の病理組織学的所見では主膵管と分枝膵管に病変が確認され、混合型IPMNの所見であった。尚、術後に悪性症候群を発症したが、dantrolene投与と補液、coolingにより時間経過とともに改善がみられ、大きな合併症なく、患者は術後20日目に療養目的で前医に転院となった。
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