発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013316876
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64歳男性。定期検査での胸部単純X線像にて左下肺野に結節影を認め、精査目的に著者らの施設へ受診となった。胸部CTでは左肺S8に30×28mmの辺縁不整で、境界明瞭な結節影が認められたが、明らかなリンパ節腫大は認められなかった。気管支鏡所見では左B8bより擦過した検体にて単離性、集塊形成性に富んだ角化扁平上皮細胞が多数観察された。一方、核異型は明らかでなかったが、高分化型扁平上皮癌が疑われ、擦過細胞診を行なったところ、class IIIであった。だが、左S8の腫瘍に一致してFDG-PETでは扁平上皮癌に類似した集積を示し、腫瘍マーカーが上昇していたことから、扁平上皮癌の可能性が強く考えられたため、診断および治療を兼ねて手術が行われた。その結果、胸腔鏡補助下左下葉切除術にて胸腔内には胸水や明らかな播種はみられなかったが、術中迅速組織診断では腺扁平上皮癌で、リンパ節郭清を行なった。その結果、病理組織所見にて上皮内癌と考えられ、顕微鏡的にも微小な上皮内癌成分が続発しており、本症例は扁平上皮腺上皮性混合型乳頭腫と診断された。
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