発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012318848
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症例は42歳女性で、乾性咳嗽で前医のX線・CTにて左肺下葉に腫瘤影を認め、経気管支肺生検では確定診断に至らなかったが、PETで高集積を呈し、原発性肺癌疑いで紹介入院した。血液生化学・心機能・呼吸器能に異常はなく、腫瘍マーカーのCEA、SCCが高値であった。X線で左下肺野に心陰影と重なる淡い腫瘤影を認め、CTでは左肺下葉S9~S10に42×30×56mmの辺縁整な腫瘤影が認められた。前医のCT画像より腫瘤の増大傾向を認め、原発性肺癌疑いで手術を行った。腫瘤の針生検を行い、術中迅速病理で乳頭腫と診断された。病変は肺野末梢を主座に肺底区域気管支近傍まで及んでおり、肺底区域切除術を行った。切除標本は黄白色でカリフラワー状を呈していた。病理所見では異型の乏しい扁平上皮が乳頭状に増生し、周囲の間質や細気管支にリンパ球主体の炎症反応を認め、悪性所見はなく肺扁平上皮性乳頭腫と診断された。術後2年経過で無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2012