発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016087075
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自己心膜パッチを用いた肺動脈形成術で肺全摘手術を回避し得た肺癌3例について報告した。全例男性(年齢65~79歳)で、術前診断は粘表皮癌1例、肺癌疑い2例であり、腫瘍は全例左上葉に存在し、臨床病期はcT1aN0M0-IA期2例、cT2aN0M0-IB期1例であった。全例胸腔鏡下手術で開始し、肺動脈形成術の適応と判断して前方腋窩開胸手術に移行して左上葉切除術後に肺動脈形成術を行った。ヘパリン投与後に肺動脈本幹の中枢と末梢を遮断し、楔状に肺動脈壁を切除してグルタールアルデヒド処理を行って楕円形にトリミングした自己心膜パッチで閉鎖した。切除した肺動脈壁断端に腫瘍浸潤がないことを確認し、ND2a以上のリンパ節郭清を行った。最終病理診断は腺扁平上皮癌、腺癌、扁平上皮癌、病理病期はpT2aN1M0-IIA期2例、pT2aN0M0-IB期1例であった。肺動脈形成部位に問題なく、術後3~12日に全例が軽快退院し、術後3.0~4.7年経過で再発は認めていない。
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