発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009275830
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83歳女性。患者は喀痰量の増加と胸部異常陰影を主訴に、血中CA19-9の上昇を認め、肺癌の疑いにて精査入院となった。入院時、血中19-9は更に上昇し37670U/mlで、胸部X線では右中下肺野に浸潤影が認められた。胸部CTでは右下葉に気管支壁の肥厚や胸膜の肥厚を伴わない肺葉を充満する径10cm大の浸潤影と、右S5にも3cm大の腫瘤が確認された。また、PETでは右下葉の病巣はSUV 5.9、右中葉の病巣は2.8とともに集積がみられ、気管支鏡による腫瘍生検にて腺癌と考えられた。以上、これらの所見より、本症例は右中葉肺転移を伴う臨床病期IV期の右下葉原発肺腺癌と診断され、胸腔鏡下に右中下葉切除術および肺門縦隔リンパ節切除が行われた。その結果、病理組織学的に粘液産生気管支肺胞上皮型優位の肺腺癌であり、血中19-9は術後2ヵ月で44U/mlまで低下し、目下、術後4ヵ月経過で再発徴候はみられていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009