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症例1(36歳男性)。急性期手術例であり、胸部打僕を主訴とした。造影CT所見にて縦隔内血腫と大動脈峡部から胸部下行大動脈にかけて全周性大動脈解離が認められた。集中治療室収容直後、突然大動脈が破裂し心肺停止となり、心臓マッサージ下に経皮的心肺補助装置(PCPS)挿入後、緊急手術が行われた。所見では左鎖骨下動脈(LSCA)から遠位側5cmの胸部下行大動脈が半周離断されて出血しており、中枢側は左総頸動脈(LCCA)とLSCA間大動脈を、末梢側は破裂部位より約10cm遠位側大動脈で遮断した。その結果、呼吸状態および意識状態が改善し、術後12日目に抜管、術後48日目に気管切開チューブを抜去した。症例2(28歳男性)。慢性期手術例であり、右側頭部打撲を主訴とした。造影CT所見にて縦隔内血腫と大動脈峡部の限局解離、嚢状瘤が認められたほか、左右鎖骨骨折、多発肋骨骨折、両側肺挫傷・肝損傷が認められた。降圧療法で保存的治療とし、受傷5ヵ月後に手術が行われた。手術はLCCAとLSCA間、瘤の末梢側で大動脈遮断し、大動脈切開を行い、J-graft 18mmで下行置換術が行われた。その結果、術後7日目に独歩退院となった。症例3(62歳男性)。ステントグラフト内挿術例であり、両下肢開放骨折を主訴とした。造影CT所見にて縦隔血腫と大動脈峡部に限局解離が認められた。循環動態が安定していたため両下肢開放骨折に対して創外固定が行われたが、CT再検査にて縦隔血腫拡大と左胸腔液貯留増加が認められたためステントグラフト内挿術を行い、あわせてtug of wire法にてステントグラフト+Zステントを留置した。その結果、術翌日には抜管となり、術後3日で病棟へ転室となった。
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