発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011292650
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63歳女。5年前に直腸癌で高位前方切除を施行され、CTで右肺下葉に結節を認めたが、炎症として経過観察されていた。今回、腫瘍マーカー上昇のため紹介受診し、X線で右横隔膜に重なる下肺野にかすかな透過性低下を認めた。右肺下葉の結節は5年前には1.3×0.8cm、軟部組織濃度、ダルマ型であったが、今回CTでは2.2×1.6cmに増大し、不整形となり、棘状陰影、気管支透亮像、胸膜陥入像を認めた。全身検索で異常所見はなく、擦過・洗浄細胞診、肺生検で確定診断は得られなかった。原発性肺癌または転移性肺腫瘍を疑い、手術生検の方針として胸腔鏡下右肺下葉部分切除を施行した。迅速組織診断は原発性肺癌で、右下葉切除+縦隔郭清を追加した。病理組織所見は乳頭状を主体とし一部で腺管状の浸潤増殖を示す腺癌で、辺縁の一部では肺胞上皮を置換する進展を示した。直腸癌の組織とは異なっており、原発性肺癌、混合型腺癌pT1bN0M0、病理病期IA期と診断した。
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