発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014177012
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62歳男。咽頭痛で近医を受診、左扁桃由来の深頸部膿瘍を指摘され、SBT/CPZの投与が行われたが、CTで降下性壊死性縦隔炎(DNM)と診断され、著者らの施設へ転院となった。所見では高炎症反応、頸部腫脹、左顎下部に硬結が触知され、胸部X線では上縦隔の拡大が認められた。また、頸胸部CTでは左頸部から上縦隔、気管分枝部を越えて胸椎左側食道および下行大動脈周囲を経て横隔膜に膿瘍形成が認められた。以後、左深頸部ドレナージ術、頸部膿瘍のデブリドマン後にドレーン3本の留置が行われた。しかし、上縦隔拡大に改善はなかったことから、抗生物質をABPC/SBTとCLDMに変更し、術後2日目に追加のドレナージが行われた。手術は頸部皮膚切開で縦隔鏡を挿入し、気管分枝を越えるレベルまで剥離を行ない、胸骨の頸切痕より4cm奥まで用手的に剥離し、次いで縦隔脂肪組織内炎症状態の膿瘍腔のデブリドマンとドレナージを行い、ドレーンを留置した。以後、間欠的胸腔洗浄に加え、第5病日目に右胸腔ドレナージを開始し、検出した菌に感受性のCAZと嫌気性菌感染の可能性も考えAMKに変更した。その結果、徐々に炎症反応は軽快したが、胸骨直下に留置したドレーン先端培養でEnterobacter aerogenesが検出されたため感受性のあるIPM/CSと好気性菌感染に考慮したCLDMに変更し、患者は第28病日目に抗生物質を中止し、第37病日目に軽快退院となった。
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