発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013305781
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症例は72歳男性で、左肺下葉の扁平上皮癌に対し左下葉切除術を施行されたが、1年8ヵ月後に右肺上・下葉の結節影を指摘された。胸部CTで右S2に径24mm、右S8に18mmの結節影を認め、辺縁不整で棘状突起像を伴い、内部に空洞を有していた。肺扁平上皮癌再発を最も疑い、胸腔鏡下手術を施行した。S8の結節影に相当する臓側胸膜には陥凹性白色肥厚を認め、部分切除による迅速病理診断は肺膿瘍で、S2の結節は切除せず手術終了とした。切除標本は境界明瞭な灰白色結節で、高度の炎症細胞浸潤と線維化が認められたが、腫瘍細胞はなかった。既存の肺胞構造は不明瞭で、結節内気管支は好中球の集簇と壊死組織により閉鎖され、細気管支炎を伴った肺膿瘍と診断した。術後経過良好であったが、3ヵ月後より発熱と紫斑、関節炎などが出現し、精査によりHenoch-Schoenlein紫斑病と診断された。Prednisolone投与で症状は改善し、S2の結節影も消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013