発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013305780
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症例は74歳女性で、咳嗽で近医を受診し、胸部異常陰影を指摘された。胸部CTで右S1にスピクラを伴う15mmの結節影を、右S5に49×47mmの腫瘤影を認め、腫瘍により右B5は閉鎖しており、経気管支内視鏡生検(TBLB)で腺癌と診断された。PETでは右上葉結節と右中葉腫瘤の他に下行結腸にも集積があり、大腸内視鏡でポリープ多発が認められた。大腸のFDG集積部位には腫瘍性病変を認め、転移性肺癌も考えられたが、TBLB標本をthyroid transcription factor-1、Napsin Aで染色したところ原発性肺癌の所見が得られ、右肺上中葉切除および縦隔リンパ節郭清を行った。病理所見で右上葉の腫瘍は低分化扁平上皮癌、右中葉腫瘍は乳頭状腺癌と管状型腺癌の混合型で、同時多発肺癌と診断した。術後2~3ヵ月に3回に分けて大腸内視鏡切除および左半結腸切除術を行い、管状腺腫が計10個、管状腺癌が計3個であった。術後7ヵ月経過し、再発所見はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013