発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013305782
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症例は76歳男性で、近医の胸部X線で異常陰影を指摘され、生検病理診断は扁平上皮癌であった。血液検査ではKL-6、SP-D、SP-A、LDHが高値で、動脈血液ガス所見は低酸素血症を呈していた。CTで右上葉および左下葉の径15mmの結節影と、両側下肺優位のび漫性網状影が認められた。両側の肺癌に対し部分切除を予定したが、特発性肺線維症のコントロール目的にpirfenidone導入療法を行った。術前3週間から600mg/日で開始し、1週間ごとに600mg増量して1800mg/日を維持量とし、高値であった各検査値は低下した。両側胸腔鏡下肺部分切除を行い、非腫瘍部には広範囲に線維化巣を認め、病変の病理所見は右肺上葉が小細胞癌、左肺下葉は扁平上皮癌であった。術後もpirfenidone内服を継続して退院に至り、2ヵ月間は急性増悪なく経過したが、多発リンパ節、骨転移を来たし、呼吸機能上は問題なかったが死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013