発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013098763
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73歳男。1年3ヵ月前に急性下壁梗塞とoozing型左室破裂に対して保存療法を受け改善していた。今回、咳嗽と全身倦怠感が出現し、胸部CT所見から左室仮性瘤による心不全が疑われ入院となった。心エコーで左室心尖部下壁の菲薄化と瘤形成を認め、その側壁に血栓を伴う仮性瘤を認めた。また、左室後壁を中心として全周性に10mmの心嚢液貯留を認めた。胸部3D-CTで左室心尖部側壁に仮性瘤を認め、瘤内に血栓を認めた。これらの所見から「塞栓・破裂の危険性が高い左室仮性瘤」の診断で準緊急手術の方針となった。術中所見は左室心尖部下壁に真性瘤を認め、その側壁に仮性瘤を認めた。仮性瘤は径4cmの半球状を呈し、その頂部が心膜と線維性に癒着していた。仮性瘤を切開すると赤色血栓が充満しており、16×20mmの入口部を認めた。真性瘤内には器質化血栓を認めたためこれを除去し、左室腔内を生理食塩水で洗浄した。真性瘤の瘤壁は器質化し比較的堅固であったため、仮性瘤を切除して真性瘤の瘤壁を縫縮するようにプレジェット付きプロリン糸で縫合し、テフロンフェルトストリップを用いて補強した。術後経過は良好で、30日目に独歩退院した。
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