発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017078318
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79歳女性。慢性関節リウマチの既往をもつ。重症大動脈弁狭窄症と診断されるも手術を希望せず、経過観察されていたが、今回、心尖部アプローチ経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を希望して、著者らの施設へ紹介となった。入院時、胸骨右縁第2肋間にLevine分類IV/VI期の収縮期雑音が聴取された。また、胸部X線像では心胸郭比57.6%、経胸壁心エコーは左室駆出率76.1%で、CTでは心室大動脈接合部は25.6×19.0mm、冠状動脈の高さは右14.3mm、左13.0mmであった。以上、これら所見を踏まえて、本症例は重症大動脈弁狭窄症と診断され、治療は慢性関節リウマチに伴うADLの低下が著しく、長期ステロイド内服もあることからTAVIの施行となった。術中所見では体外循環の確立後、右大腿動脈のeSheathよりアプローチし、バルーン大動脈弁形成術を施行後、Sapien XT 23mmを留置した。しかし、左室心尖部周囲には複数箇所から出血を認めたため、縫合止血が試みられたが困難で、組織接着剤やウシ心膜パッチを用い止血し得た。止血後、体外循環から離脱できたが、術後10日目の心エコーおよびCTにて左心尖部に15×17mm大の仮性瘤を認め、再手術となった。房室結節枝周囲には仮性動脈瘤が認められ、心筋組織は菲薄化し脆弱で、瘤壁切開、脆弱組織を切除後に壁欠損部を2枚の短冊フェルトで挟み、水平マットレス縫合、連続縫合で二重縫合した。その結果、再手術後のCTにて仮性瘤の消失を確認し、患者は自宅退院となった。
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