発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017135912
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64歳女。嘔気、呼吸困難を主訴とした。急性心筋梗塞に対する経皮的冠状動脈形成術(PCI)後の冠状動脈造影でPCI部の再狭窄は認めなかったが、左室後壁に心室瘤を認め、経過観察中であった。心室瘤診断より約1ヵ月後に主訴が出現してショック状態となり、心エコー所見で全周性の心嚢液貯留と左心室後壁の心室瘤(20×30mm大)を認めた。心筋梗塞後の左室瘤破裂による心タンポナーデと診断して緊急手術(左室形成術)を行ったところ、瘤内に約5×15mm大の入口部を認め、入口部の左室側からのパッチ閉鎖+左室壁閉鎖を行った。病理所見では心室瘤壁に心筋組織はみられず、仮性瘤と診断され、術後4年経過現在、瘤の再発所見、胸痛や心不全の症状を認めていない。心筋梗塞後の左室仮性瘤は破裂すると致死的であるため、診断確定後早期に手術が必要と考えられた。
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