発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012314030
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57歳男。心電図異常を主訴とした。16歳時よりvon Recklinghausen病のため経過観察中であった。心電図で心房細動を認め、3D-CTで上行大動脈瘤とsino-tubular junctionの拡大を認め、心エコーと心カテーテル検査で左室拡大を認めた。Von Recklinghausen病に伴う上行大動脈瘤および心房細動と診断し、von Recklinghausen病の組織の脆弱性を考慮して、心房細動に対するmaze手術は行わず、上行大動脈置換術を施行した。人工血管の置換後の吻合の際に、健常と思われる部位で吻合を行ったが、中枢側と末梢側吻合部の針穴からの出血が続き、圧迫止血に時間を要した。圧迫止血後に中枢側の吻合部を2cm幅、末梢側を4cm幅の人工血管を襟巻状に縫着し、止血を補強した。さらに末梢側吻合部の瘤化を予防する目的で、大動脈遮断部位も覆うように腕頭動脈分岐部まで人工血管で被覆した。術後経過は良好で、術後20日に退院となった。
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