発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013004085
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症例は85歳女性で、約7年前に冠状動脈バイパス術(左内胸動脈グラフト(LITA)-左冠状動脈前下行枝(LAD)、右内胸動脈-左冠状動脈回旋枝)を施行されていた。労作時息切れ、呼吸困難が出現し、急性心不全と診断された。内胸動脈造影でLITA-LADは良好に開存していたが、高度の僧帽弁閉鎖不全症を認め、再胸骨正中縦切開で手術を施行した。LITAは癒着組織の中に同定できず、心筋保護はLITA開存のまま中等度低体温下に初回順行性+持続的逆行性冠灌流を併用し、右房の右側の癒着が強いため右房切開、経中隔アプローチで僧帽弁へ到達した。僧帽弁は弁尖の変性や退縮、色調変化が強く、前尖の逸脱が著明で、CEP生体弁25mmを用いた人工弁置換術を行った。次いでKay法により、拡大した三尖弁輪を縫縮して三尖弁形成術を行った。術後経過良好で、心臓リハビリテーションを行い21日目に独歩退院した。約半年後の冠状動脈マルチスライスCTでLITAの良好な開存を確認した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012