発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009298949
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76歳女。労作時呼吸困難を主訴とした。64歳時にリウマチ性僧帽弁・大動脈弁閉鎖不全症に対し両弁置換術の既往があった。血液・生化学検査で溶血性貧血と軽度腎機能障害を認め、呼吸機能検査では中等度の慢性閉塞性肺疾患、胸部CTでは下肺野に低吸収領域の多発を認めた。経食道心臓超音波検査では僧帽弁前交連側より重症人工弁周囲逆流を認めた。輸血を必要とする溶血性貧血を合併した僧帽弁位人工弁周囲逆流と診断し、手術適応と考えた。しかし、術後呼吸管理に難渋することが予想されたため、術前に呼吸筋トレーニング、運動療法、スーフルによる呼吸理学療法を3週間施行した。また、同時に輸血も行った。訓練後に呼吸機能の改善を認めたため手術を施行し、僧帽弁位前尖前交通側に約1cmの人工弁遊離を認め、僧帽弁再置換術を施行した。術中の経食道超音波検査では逆流の消失を確認した。術後経過は良好で、呼吸器合併症は認めず、術後30日に独歩退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2009