発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013004079
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症例は64歳男性で、18年前に冠状動脈バイパス術(左内胸動脈-左前下行枝、橈骨動脈(RA)グラフト-左冠状動脈回旋枝)を施行されていた。心不全症状が出現し、心エコーで左室を側方から圧排する心嚢内腫瘤を認め、3年前に発見された時よりも増大していた。開胸術を施行し、左肺を圧排する巨大な腫瘤を認め、著明に肥厚した心膜(腫瘤の外壁)を切開したところ、暗赤~茶褐色の粥状および白色が混在した新旧の血腫が認められた。回旋枝領域へのRAグラフトは開存していたため、グラフトを損傷しないように血腫を除去し、広範に高度石灰化を伴う左室外壁に達した。超音波破砕吸引装置を使用して石灰化をほぼ完全に除去し、残る肥厚・線維化した心外膜は収縮性心膜炎に準じて剥皮した後、肥厚が残った部分には超音波メスを用いて格子状に切開を加えた。術後経過順調で、左室内腔の圧排所見はほぼ完全に消失し、心機能も著しく改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012