投稿論文 短報
迷走神経切断後の咳嗽発作に抑肝散が奏効した1症例
石岡 慶己
1
,
立花 俊祐
,
田口 まゆ
,
井上 光
1滝川市立病院 麻酔科
キーワード:
咳嗽
,
術後合併症
,
神経鞘腫
,
脳神経腫瘍
,
迷走神経切断術
,
迷走神経疾患
,
抑肝散
Keyword:
Vagotomy
,
Neurilemmoma
,
Postoperative Complications
,
Cranial Nerve Neoplasms
,
Cough
,
Vagus Nerve Diseases
,
Yi-Gan San
pp.435-436
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020228429
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症例は67歳女性で、右頸部迷走神経鞘腫切除術後に迷走神経切断に伴う交感神経の過緊張による悪心・嘔吐やめまい、喉頭麻痺、咳嗽発作が出現した。交感神経遮断術後も残存する咳嗽発作は重度で薬物療法に抵抗性であり、10年以上にわたって星状神経節ブロック(SGB)を継続していたが、担当医変更を機会に抑肝散(2.5g分×1・day-1)の内服を開始したところ、内服開始1ヵ月後には咳嗽発作が消失し、SGBの中止に至った。SGB中止から1年以上経過した時点で咳嗽発作の再燃はみられない。本症例の咳嗽発作は神経切断端近傍の頸部皮膚への機械刺激や気道への寒冷刺激で生じ、病態として咳過敏状態の存在が示唆されたことから、咳中枢への神経伝達や知覚神経の神経過敏を抑制する抑肝散が有効であったと考えられた。
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