発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012318855
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は23歳女性で、咳嗽があり、その後の健康診断でX線像の異常陰影を指摘され受診した。1年前にも同様陰影で当院外科にてCT上良性嚢胞として経過観察されていた。X線で下行大動脈に接する縦隔内に内部濃度が均一で、30×25mm大の嚢胞性病変を認め、1年前より明らかな増大傾向が認められた。MRIで後縦隔にT1強調で低信号、T2強調で高信号の内部均一な嚢胞を認め、嚢胞内容液はタンパク成分を含む液体と考えられた。増大傾向があるため、完全鏡視下に手術を行った。肺靱帯の縦隔側に3cm大の腫瘍を認め、一部食道に固着していたが、慎重に剥離し摘出した。腫瘍内容液は透明で粘性のある液体であった。病理所見では、嚢胞壁は2層の平滑筋層で構成され、多列繊毛円柱上皮や重層円柱上皮で裏打ちされた食道重複嚢腫と診断された。術後経過は良好で、第1病日にドレーンを抜去し、第4病日に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012