発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013269694
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13年間に大動脈基部置換術(Bentall手術)を行った59例を対象に、術中に人工弁付き人工血管Carbo-Sealグラフトを使用しなかった1998~2004年の26例(前期)と、使用した2005~2010年の33例(後期)に分け、患者背景や術式、主要術後合併症、予後を比較した。主要術後合併症は、手術死亡、入院死亡、出血再開胸、呼吸不全、心不全、急性腎不全、縦隔炎、脳梗塞と定義した。なお、死亡に至らなかった合併症重複例では、最も治療を要したものをその症例の主要合併症とした。その結果、前期と後期で大動脈基部置換術と合併手術併施例の頻度に有意差はなかった。後期は前期に比べて手術時間、術中輸血量、出血量、死亡を含めた主要合併例の頻度が有意に少なかった。死亡を含めた主要合併症に対するロジスティック回帰分析では、Carbo-Sealグラフトの使用が有意な負の予測因子となっており、他は急性大動脈解離例、手術時間、体外循環時間、術中輸血量が有意な予測因子となっていた。
©Nankodo Co., Ltd., 2013