発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010265960
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72歳男性。患者は胸痛を主訴とした。CTでは遠位弓部大動脈瘤にStanford B型急性大動脈解離を合併しており、更に左胸腔内・後縦隔には大量の出血が伴っていることが判明した。緊急入院となったが、プレショック状態であり、安静降圧療法と左胸腔ドレナージを行うことで全身状態は改善、約1ヵ月で退院となった。だが、経過観察中に遠位弓部から腹部大動脈末端までの大動脈の拡張が急速に進行したため、ニ期的手術が予定された。初回手術は弓部から腹部大動脈末端までの動脈瘤に対し、elephant trunk人工血管を留置した上行弓部大動脈置換術が行われ、二期手術で腹部大動脈置換術が施行された。その結果、前回のelephant trunk人工血管より大量出血を来したため、血液検査を行い、フィブリノゲンの異常低値、ACT値の高度延長を確認、再建を続行した上で新鮮凍結血漿、血小板血漿、protamineの投与を行ったところ、出血量は減少し、血行動態も安定、良好な術後経過を得ることができた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010