臨床経験
大動脈瘤壁の石灰化内膜による下行大動脈人工血管破裂
黒田 弘明
1
,
小野 公誉
1山陰労災病院 心臓血管外科
キーワード:
再手術
,
大動脈瘤
,
肺切除
,
人工器官機能不全
,
人工血管
,
体内埋込み具の除去
,
緊急手術
,
大動脈置換術
,
血管石灰化
,
胸部CT
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Blood Vessel Prosthesis
,
Pneumonectomy
,
Reoperation
,
Prosthesis Failure
,
Device Removal
,
Vascular Calcification
pp.108-111
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016150835
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61歳女。遠位弓部下行大動脈人工血管置換術後10.5年目に突然の喀血を生じ、近医の胸部CTにて胸部大動脈瘤破裂と診断され、気管内挿管後に当院搬送となった。搬送時の胸部CT所見より、下行大動脈瘤の肺内穿破と診断し、緊急開胸手術を行った。手術所見では人工血管に3ヶ所の穿孔部位があり、人工血管の約1/2の部位で遮断し、新しい人工血管で置換した。術後約10時間で人工呼吸器から離脱し、経過は比較的順調で術後5週間で独歩退院となり、2年経過した現在も健在である。本症例では、胸部大動脈瘤手術に際して人工血管をラッピングした大動脈瘤壁の石灰化内膜により、遠隔期に人工血管が摩耗して破綻したと考えられた。
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