発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012314038
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59歳男。右胸水貯留を主訴とした。C型肝炎と肝細胞癌、慢性腎不全で血液透析を受けていた。X線、CTで心臓を圧排する著明な右胸水貯留を認め、胸腔ドレーンを留置して1日1000~1500mlの胸水を排液し、それ以上は排液しないよう適宜クランプした。胸水を排液すると腹部膨満が軽快したため、横隔膜交通症の存在を疑った。ドレーン留置7日目のX線像でも胸水貯留が継続するため、保存的加療の限界と判断し、ドレーン留置8日目に手術を行った。第7肋間中腋窩線にポートを留置し、胸腔鏡下に胸腔内を観察した。横隔膜腱中心に1cm大の嚢胞性変化を認め、根部のピンホールより腹水が流入してるところを確認した。第9肋間に小開胸を追加して同部を切除・縫縮し、さらにポリグリコールシート等で補強した。病理組織学的に悪性所見はなく、線維性結合組織が主体であった。術後経過は良好で、胸水貯留の再発はなく、術後17日に外出できるまでに回復した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012