発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007050578
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65歳女。9年前よりC型肝炎を肝庇護薬で経過観察していた。4年前に多発性の結節を認め再生結節と考えたが経過観察し、3年後に肝細胞癌と診断し3回の経皮的エタノール注入術を施行した。翌年、特発性細菌性腹膜炎で入院し、大量の胸水を認めるも抗生物質投与で保存的に軽快したが、8日後に呼吸苦を訴え再入院した。胸部X線で右側に著明な胸水を認めたが腹水の貯留は軽度で、呼吸苦のため適宜胸腔穿刺による胸水除去を行った。腹腔内に投与したインジゴカルミンの胸水への流出を認め横隔膜交通症と診断し、入院5週にminocycline hydrochlorideの胸腔内投与により胸膜癒着を試みるが不成功で、その後の胸水流出も多く、低Alb血症の悪化より胸腔鏡下手術を施行した。胸腔内に癒着はなく、横隔膜に約3cm大の嚢胞を2個認め自動吻合機で切除した。術後、腹水の貯留は認めるも胸水の貯留はなく交通は閉鎖されたと考え、術後2日に胸腔ドレーンを抜去した。経過は良好であるが腹水のコントロールは困難となり、穿刺腹水を濃縮・再注入する方法を試み経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2006