発行日 2014年2月10日
Published Date 2014/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2014158303
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
60歳代男。約13年前より2型糖尿病に対し血糖降下薬内服を開始するも糖尿病性腎症による末期腎不全に至った。腹膜透析の導入となったが、直後から右片側胸水が出現、横隔膜交通症を疑い、一時的に血液透析ほか、胸水穿刺および一時的腹膜透析の休息が行われた。今回、腹膜透析を再開後、カテーテル位置異常に伴う排液不足で腹部膨満、体動時呼吸困難を認め、かつ横隔膜交通症の増悪で緊急入院となった。対処として胸水ドレナージで呼吸苦は改善したものの、カテーテル位置異常は解除されず、胸腔鏡下横隔膜縫縮術と下腹部切開示指挿入矯正法(CRF)によるテンコフカテーテル整復術が行われた。だが、腹膜透析再開時に陰嚢の違和感を訴えた。そこで、カテーテルからの造影を行なったところ、所見ではカテーテルのヘルニア嚢への迷入と造影剤の貯留が認められた。また、腹部単純CTではカテーテルの鼠径管通過によるヘルニア嚢への陥入が認められた。以上より、本症例は横隔膜縫縮術中の腹部圧迫操作で腹膜鞘状突起が開大し迷入したものと考えられ、陰嚢水腫根治術を施行し、術後10日より透析排液を開始した。その結果、以後は再発は認められていない。
Copyright © 2014, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.