発行日 2013年1月10日
Published Date 2013/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2013150691
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53歳女。IgA腎症による末期腎不全のため腹膜透析(PD)を導入することとなり、PDカテーテル留置術10日後に注液を開始した。注液開始翌日から呼吸困難感が出現し、胸部X線単純写真で多量の右胸水を認めた。腹腔内へブドウ糖濃度1.5%の腹膜透析液(PD液)1500mLを貯留した約30分後に胸水試験穿刺を施行し、ほぼ無色透明の胸水を10mL採取し、漏出性胸水であった。PD開姶後に発生した胸水で、血清の2倍以上のブドウ糖濃度を呈していることからPD液の胸腔への移動と考え、横隔膜交通症と診断した。残腎機能があったため一時PDを休止し、全身麻酔下に胸控鏡下横隔膜縫縮術を施行した。3ヶ所にピンホール状の瘻孔を認め、瘻孔からPD液の流出を認めた。術後10日目からPDを再開し、1500mLのPD液を貯留しても胸水は認めなかった。その後順調にPDを継続している。
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